日本で大腸がんは、年々増加傾向にあります。早期の大腸がんは、自覚症状がなく、進行が遅い温和ながんであるといわれているため、検診を受けて早期発見をすることが重要です。この記事では、大腸がんの特徴や症状、検査から治療、予防までを広く、できるだけシンプルにお伝えしています。

大腸がんとは?

大腸がんは、長さが約2mmの大腸(盲腸、結腸、直腸、肛門)に発生するがんです。粘膜の下にある、粘膜下層までのがんを「早期がん」、そのさらに下の固有筋層に達したがんを「進行がん」と呼びます。大腸がんの発生には2つのパターンがあります。1つ目は、大腸粘膜にできた良性のポリープ(腺腫)の一部が、がん化して発生した場合。2つ目は、粘膜から直接発生した場合です。粘膜の表面で発生したがんは、徐々に大腸の壁に深く侵入してゆきます。大腸がんが進行した場合、リンパ節や肺、肝臓、腹膜などの臓器に転移する場合があります。

大腸がんの症状

大腸がんは早期の段階では、自覚症状がありませんが、進行するにつれて次のような症状が現れます。

○血便(便に血が混じる) ○下血(肛門から出血する) ○下痢と便秘を繰り返す ○便が細い ○排便後に便が残る感じがする ○おなかが張る ○腹痛が起きる ○貧血が起きる ○原因不明の体重減少がある ○嘔吐する

出血場所の違いで異なる症状

  • 上行結腸・横行結腸(大腸の前半部分)での出血…出血が起こっていても便からは判断がつきません。出血は続いているために貧血症状が現れることがあります。液状の便のため、便による通過障害が起こることはありません。
  • 下行結晶・S状結腸(大腸の後半部分)での出血…粘膜便や下痢と便秘を繰り返したり、便が細くなる便通異常が起こったりします。
  • 直腸(肛門に最も近い場所)での出血…便に血が混じるというよりは、直接肛門から出血するようになります。大腸がんの出血と痔による出血では違いがあるので注意が必要です。

大腸がんの原因

食生活の欧米化

大腸がんの原因で一番多いと指摘されているのが、食事の欧米化です。牛・豚・羊の肉やベーコン・ハム・ソーセージなどの加工肉の摂取が多くなり、高脂肪・低食物繊維の食生活になることで、日本人に大腸がんが増えています。

食物繊維が不足することで便秘を招き、便が大腸に長く留まります。その時に、便に含まれる発がん性物質も、一緒に留まることになるので、がんが発生しやすくなると考えられます。

また、脂肪の摂取量が多い国ほど、大腸がんの発生率が高くなることもわかっています。脂肪を摂取すると、私たちの体では、脂肪を分解・吸収するために胆汁酸を分泌します。この胆汁酸は、腸内で二次胆汁酸となります。この二次胆汁酸には、発がん促進作用があるといわれています。

運動不足

デスクワークばかりで、運動不足人の人は内臓脂肪が多い傾向にあります。内蔵脂肪が増えると動脈硬化やがん発生を抑制するアディポネクチンというホルモンを生成しにくくなってしまい、大腸がんになりやすくなると考えられます。反対に運動することでアディポネクチンが活発に生成されます。さらに腸の動きも活発になるため、便通時間が早くなり、発生率の低下につながります。

たばことお酒

たばこの煙には多くの発がん性物質が含まれています。たばこを吸うことで大腸だけでなく、肺や胃などの消化器系へ影響を与えてしまい、吸わない人に比べて7倍大腸がんになりやすくなるといいます。

また、お酒に含まれているエタノールは分解されてアセトアルデヒドになります。お酒を飲むと顔が赤くなる、気分が悪くなる、頭痛がするなどの症状が起こる原因の物質です。このアセトアルデヒドが、がんの発生にかかわると考えられています。日本人はアルコールの影響を受けてがんになりやすいとも言われています。

潰瘍性大腸炎の慢性化

腸内の粘膜に炎症が起こり、粘膜の一部が潰瘍化したり、ただれたりする病気です。慢性化しやすく、大腸がんを合併しやすい状態になってしまいます。長期にわたり症状が続くようなら、がんの検診も必要です。

大腸ポリープ

良性の腫瘍の一種です。粘膜のある腸や食道、胃などに発生し、大腸ポリープと言われる8割ほどが、直腸とS字結腸にみられます。良性の腫瘍ですが、がん化する可能性があるので、定期的な検診を受ける必要があります。

遺伝による大腸がんのリスク

がんをはじめ病気は、遺伝要因と環境要因が組み合わさって発症します。がんになりやすい体質(遺伝子)が受け継がれているということになりますが、必ずしも、がんを発症するわけではありません。しかし、大腸がんの中でも、家族性大腸腺腫症と呼ばれる病気がもとになって発病するものは、遺伝が原因です。祖父母、両親、兄弟姉妹、子供に大腸がんの患者がいる場合は、いない人よりも確率が高くなる可能性もあります。

大腸がんにかかりやすい人のタイプ

大腸がんにかかる人は、40歳以上から増え始めます。家族の中に、これまで大腸の病気にかかったことがある人がいる場合、また、下記の項目がいくつも当てはまる場合は、積極的に検診をおこなう方が良いでしょう。

食事に関して

  • 肉中心の食事が多く、たくさん食べる人
  • ハムやソーセジ、ベーコンなどの加工食品が好きな人
  • 野菜・果物はあまり食べない人
  • お酒をたくさん飲む人

生活スタイルに関して

  • 便意を我慢することがよくある人、便秘気味な人
  • デスクワーク中心で、あまり運動をしない人
  • よく一日中ゴロゴロしている人
  • タバコを吸っている人

検査・診断

大腸がん検診により早期発見できれば、高い確率で完全に治すことができる可能性が高くなります。また手術も内視鏡による手術がおこなえるなど、体に負担が少ない方法もあります。費用面や家族への負担も軽くなり、大腸がんでなかったとしたら、何よりも大きな安心感を得ることができます。

検査

便潜血検査

便潜血(べんせんけつ)検査では、便に混ざったわずかな血液の有無を調べます。検査の方法は、通常2日に分けて採便棒で便の表面をまんべんなくこすり取って、容器に入れ、検査機関等へ提出します。検査は自宅でおこなうことができ、食事制限の必要もなく簡単です。

結果が「陽性」で疑いありと判断された場合、専門の病院を受診して精密検査をおこないます。内視鏡検査や注腸X線検査、腹部CT検査、MRI検査、血液検査など各種検査を受ける必要があります。「陰性」で異常なしと判断された場合、精密検査はおこなわずに、1年後に便潜血(べんせんけつ)検査を受けます。

注腸X線造影検査

バリウムを肛門から注入した後、空気を送り込み、大腸を広げた状態でレントゲン撮影をおこないます。バリウムがたまっている部分は白く映ります。検査の2~3日前から食事制限をし、さらに下剤で腸の内容物をすべて出し切った状態で検査をします。腸内に便が残っていると、便なのか、腫瘍なのか判断できなくなるためです。内視鏡検査で見づらい部分を補助的に調べるなどの目的でおこなわれます。

内視鏡検査

検査の前日までは消化の良い食事にし、便秘の場合は、事前に下剤を服用する場合もあります。検査の当日、腸の中を空っぽにするために、腸洗浄剤を飲んで、便が透明に近くなるまで腸内をきれいにしてから検査をおこないます。内視鏡を肛門から挿入して、大腸内に空気を送り込み、膨らませた大腸内の様子をモニター画面に映してみます。ポリープが見つかればその場で一部の組織を採取して、顕微鏡検査をおこなうことができます。そのため、大腸がんの診断には欠かせない検査となっています。

直腸鏡検査

直腸と肛門内を診る検査法です。肛門にゼリーを塗って直腸鏡を挿入します。 直腸鏡では、肛門、直腸からS状結腸の下部までの範囲でポリープやがんの検査をおこなう事ができます。直腸内に便がたまっている場合は、浣腸によって便を排出する必要がありますが、事前に排便を済ましている場合はすぐにおこなうことが可能な検査です。

触診

画像検査で見つけにくい直腸の下の部分から、肛門にかけてのがん発見に効果があります。

  • 腹部触診…腹部を直接、手で触ったり、押したりして診断します。どこかに痛いところはないか、シコリはないか、お腹が異常に張っていないかなどを調べます。
  • 直腸指診…肛門から人差し指を直腸内に入れて、内部の様子を触診する検査です。指で直接触れることで、硬くなっている部分がないかを調べます。
腫瘍マーカー(血液検査)

体のどこかにがんが潜んでいると異常値を示す血液検査のことです。転移・再発の評価指標として、また治療の効果判定などのためにも用いられています。大腸がんではCEAとCA19−9と呼ばれるマーカーが一般的ですが、これらの腫瘍マーカーで大腸がんを早期に発見することはできません。進行大腸がんでも異常値が認められない場合もあります。腫瘍マーカーは定期的に測定して判断することが必要です。

CT、MRI検査

治療前に転移や周辺の臓器へのがんの広がりを調べるためにおこなう検査です。CTはX線を、MRIは磁気を使って体の内部を描き出します。

PET検査

放射性のフッ素を含む薬剤を注射し、撮影することで全身のがん細胞を検出するのがPET検査です。腫瘍マーカーなどの異常から転移や再発が疑われる場合などにおこなわれる場合があります。

診断

便潜血検査で陽性が出た場合、追加で大腸内視鏡検査や注腸X線造影検査がおこなわれます。便に血が認められても、実際に大腸がんと診断される人は、3パーセント未満といわれていますが、万が一のためにも必ず精密検査を受けることが大切です。

治療方法

大腸がんの病期

病期とは、がんの進行の程度を示す言葉です。ステージとも表現されます。大腸がんでは、0期・Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期と5つに分類されています。

  • 0期 がんが大腸の粘膜にとどまる
  • Ⅰ期 がんが大腸壁の筋層にとどまる
  • Ⅱ期 がんが大腸壁の筋層を超えているが、リンパ節転移はない
  • Ⅲ期 がんがリンパ節に転移している
  • Ⅳ期 腹膜、肝臓、肺などへの転移がある

病期はがんの大きさではなく、大腸壁の内側にがんがどの程度深く入り込んでいるか、また、周囲組織への広がりの程度、およびリンパ節への転移や肝臓・肺などの遠隔臓器への転移の有無によって決まっています。

治療方法

大腸がんの治療方法は、病期に基づいて決まります。

内視鏡治療(0期・Ⅰ期)

内視鏡を使って、大腸の内側から、がんを切除します。知覚神経のない大腸の粘膜で痛みを感じることは通常ありません。摘出した病変を顕微鏡で病理学的に検査をし、がんを取り残していないか、また転移や再発の危険性が高くないかを確認することになります。その結果によっては、さらに手術が必要となる場合もあります。

手術(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期)

大腸がんの治療は、手術による切除が基本となります。早期の大腸がんでも手術が必要な場合があります。がんのある腸管とリンパ節を切除し、がんが周囲の臓器に及んでいる場合には、それらの臓器も一緒に切除します。病状や手術の方法によっては人工肛門の造設を必要とする場合があります。進行度によっては、神経や筋肉を切除せず残す方法や、おなかに小さな孔をつくり、そこから小型カメラと切除器具のついた腹腔鏡を入れる腹腔鏡手術もあります。

放射線治療 (Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期)

がんを小さくするために、高エネルギーのX線を体の外から照射します。手術前後の補助治療、再発の抑制、手術前のがんのサイズの縮小、肛門を温存することなどを目的として放射線治療をおこなう場合があります。また、切除が難しい骨盤内のがんによる痛みや出血などの症状緩和、骨転移による痛みや、脳転移による神経症状などを改善するためにも、一般的におこなわれる治療法です。

抗がん剤治療(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期・Ⅳ期)

主に、手術後のがん再発を予防するための補助治療としておこなわれる場合と、手術が困難な進行がん、または再発がんに対しておこなわれます。後者の場合は、延命および生活の質の向上が目的となります。大腸がんに有効な抗がん剤がいくつか開発されており、患者さんの症状に合わせて数種類の薬剤を組み合わせて使用したり、単独で使用したりすることになり、ほかの抗がん剤と併用することで効果を高めることが期待されています。

予防・ケアの方法

禁煙する

日本人を対象とした研究の結果から、たばこは、肺がんをはじめ食道がん、すい臓がん、臓がん、胃がん、大腸がん、膀ぼうこう胱がん、乳がんなど多くのがんに関連することが示されました。たばこを吸う人は吸わない人に比べて、がんになるリスクが約1.5倍高まることもわかっています。たばこは、周囲の人の健康も損ねるので、自分以外の人のためにも禁煙を考える必要があります。

飲酒の量を減らす

多量の飲酒で、がんのリスクが高くなることが、日本人男性を対象とした研究でわかりました。特に飲酒は食道がん、大腸がんと強い関連があります。女性の方が男性よりも飲酒の影響を受けやすく、より少ない量でがんになるリスクが高くなるという可能性が報告されています。

飲酒する場合は、日本酒は1合、ビールは大瓶1本、焼酎・泡盛は1合の2/3、ウイスキー・ブランデーはダブル1杯、ワインはボトル1/3程度です。飲まない人、飲めない人は無理に飲まないようにしましょう。

食生活を見直す

“便秘にならない食生活”をおこなうことで、腸内環境を整え、結果的に免疫力を高める効果につながります。野菜・果物を食べることを心がけ、日本人に不足しがちな食物繊維をしっかり摂れる食事内容へと見直します。厚生労働省策定「健康日本21」では、1日あたり野菜を350g摂ることを目標としています。

身体を動かす

仕事や運動などで、身体活動量が高い人ほど、がん全体の発生リスクが低くなるという報告があります。普段の生活の中で、可能なかぎり身体を動かす時間を増やしていくことが、身体のあらゆる機能の健康につながると考えられます。厚生労働省は、「健康づくりのための身体活動基準2013」の中で、推奨される身体活動量を示しています。

  • 18歳から64歳の人…「歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分おこなう」それに加え、「息がはずみ、汗をかく程度の運動を毎週60分程度おこなう」
  • 65歳以上の高齢者…「強度を問わず、身体活動を毎日40分おこなう」
  • すべての世代に共通…「現在の身体活動量を少しでも増やす」「運動習慣をもつようにする」

適正体重の維持

健康全体のことを考えると、男性はBMI値21 ~ 27、女性は21 ~ 25の範囲になるように体重を管理するのがよいようです。体重と慎重で簡単に計算ができます。

BMIの計算式   体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}

大腸がんにならない生活を

「自分は元気で、どこも悪くない!」という過信する気持ちをまず捨てましょう。検診を受けることは、自分のためだけではなく家族のためでもあります。もし、検診を受けて問題なしとなれば、そんな嬉しいことありません。しかし、もし問題が見つかった場合でも、早期に発見できたとしたら、家族としっかり相談し、情報を集め、対処することが可能になります。少しの意識改革が長い人生の幸せにつながることになります。

大腸がんに役立つ乳酸菌の選び方

不足している栄養を効果的に摂る方法

乳酸菌サプリ

乳酸菌やビフィズス菌をサプリメントで摂る。

乳酸菌サプリ

食物繊維サプリ

腸内細菌のエサになる食物繊維をサプリで補給。

食物繊維サプリ

青汁

足りない緑黄色野菜の不足を青汁で補う。

青汁

オリゴ糖

プレバイオティクスとしてオリゴ糖を使う。

オリゴ糖