私達の体には皮膚や口の中などに数多くの菌が住みついて、小腸や大腸には約100兆個もの菌が住みついているといわれています。人の細胞は約60兆個といわれているので、はるかに多い数の細菌がお腹の中にすんでいることになります。

腸の中にすんでいる菌を腸内細菌と呼びます。腸内細菌は種類ごとに固まって生息しており、その様子が花畑の集まりのように見えることから腸内フローラと呼ばれています。

腸内細菌にはそれぞれに役割があることが分かっていますが、近年のDNA解析技術などの進化によって研究が進み、「ヤセ菌・デブ菌」と呼ばれる肥満をコントロールする細菌がいることが分かってきました。

腸内の「ヤセ菌・デブ菌」のバランスを保つことによって、ダイエットにも効果があるという研究が進んでいます。そんな「ヤセ菌・デブ菌」の身体への働きを見てみましょう。

ヤセ菌、デブ菌って何?

2006年、米国ワシントン大学のジェフリー・ゴードン博士が、イギリスの科学雑誌ネイチャーに「肥満の人とやせている人の腸内フローラは異なる特徴を持っている。」という発表を行って話題となりました。

また、ゴードン博士の2013年の研究で、腸内が無菌状態のマウスに、太ったマウスの腸内細菌と痩せたマウスの腸内細菌をそれぞれ移植した実験では、痩せたマウスの腸内細菌を与えたほうに比べて、太ったマウスの腸内細菌を与えたマウスは体脂肪が47%も増加したという結果が出ました。

これらの研究で「腸内フローラが肥満の原因になる。」という事が実証されました。

やせている人と肥満の人の腸内フローラを分析したところ、やせている人の腸内には「バクテロイデス」というグループの菌が多く存在していることが分かりました。この「バクテロイデス」がいわゆる「やせ菌」で、腸の中で肥満を解消するような働きを行っています。

また、他の実験では肥満の人には「フィルミクテス」というグループの菌が多く住みついていることが分かっています。これが「デブ菌」と呼ばれる菌で、肥満を促進するような働きを行っています。

デブ菌が多い原因で痩せない?

人の腸には大きく分けると、フィルミクテス門・バイクテロイデス門・アクチノバクテリア門・プロテオバクテリア門という4つのグループの腸内細菌がすんでいます。

「アクチノバクテリア門」が善玉菌で、「プロテオバクテリア門」が悪玉菌のグループといわれています。そして、「フィルミクテス門とバイクテロイデス門」は日和見菌に分類されています。
つまり、肥満に関連するのは日和見菌であることが分かります。デブ菌の「フィルミクテス門」グループには糖を代謝する働きのある菌が多く存在していて、人が食べた物からエネルギーを吸収させる働きを行っています。デブ菌が腸内で勢力が大きくなると、少しの食べ物からも多くのエネルギーを吸収するようになっていまいます。

身体がカロリーとして消費できなかったエネルギーは脂肪になり、細胞に蓄えられてしまいます。その結果、ぜい肉として体に貯まって太ることになってしまいます。

やせ菌が多い人とデブ菌が多い人が同じ食事をとっても、エネルギーを吸収する量によって、脂肪のつき具合が変わってしまうという事です。あまり、食事の量は人よりも多くないのに太ってしまう原因は、腸内の「デブ菌」が多い腸内フローラであるといえるかも知れません。

ヤセ菌とは

やせている人の腸内には「バクテロイデス門」グループの菌が多く存在していることが、ジェフリー・ゴードン博士の研究で分かっています。

やせ菌は食物繊維を消化する中で短鎖脂肪酸という物質を作り出します。短鎖脂肪酸は腸管ホルモンの分泌を活性化させて食欲を抑えたり、体の代謝を高めたりする働きがあり、太りにくい体質を作る肥満予防の効果があることが分かってきました。

また、短鎖脂肪酸には腸内バリアの修復効果があり、免疫系を改善して炎症をおさえる効果も期待できます。

やせ菌のダイエットへの効果

やせ菌がダイエットの効果を高めることが最近の研究で明らかになってきています。その鍵はやせ菌が腸内で生成する「短鎖脂肪酸」にあります。

短鎖脂肪酸は腸内で腸管ホルモンの分泌を高めて食欲を抑える働きをします。また、インスリンの分泌も高めて体の代謝を高めてくれます。

肥満は脂肪細胞に栄養が取り込まれて肥大化することで起こります。短鎖脂肪酸は脂肪細胞のセンサーに働きかけて、脂肪細胞への余計な栄養分の取り込みを防ぐ働きをします。また、全身の代謝活動を高めて、エネルギーの消費量の促進をサポートする働きもあります。
交感神経には短鎖脂肪酸に反応するセンサーがあり、感知することで体温を上昇させたり、脈拍数を増やしたりとエネルギーを消費するように促します。

腸内に「やせ菌」が多くなれば、「短鎖脂肪酸」が多く作られることになり、それだけヤセ体質に近づくことになります。

フードファイターの腸内細菌

普通の人よりも大量にカロリーを摂取しているのに、全く太っていない人達と言えば、大食い選手権などのTV番組で見かけるフードファイターでしょう。数十人前の食べ物を短時間で食べているにもかかわらず、脂肪がつかないというのは本当にすごい体質です。摂取カロリーは1日に2万キロカロリーにも達するようですが、一体どの様な体質を持っているのでしょう。

フードファイターの女性の腸内細菌を調べた実験によると、やせ菌である「バクテロイデス」と「ビフィズス菌」の割合が一般的な女性よりも多いという事が分かりました。また、食べた後も血糖値が上がりにくく、胃のぜん動運動が活発で食べ物は次々と腸に送られていくようです。

【女性フードファイターの腸内細菌の割合】

1位 ビフィズス菌 52.6%

2位 バクテロイデス 33.1%

3位 嫌気性球菌 12.7%

4位 ユーバクテリウム 1.2%

5位 大腸菌 0.2%

一般的な女性の平均腸内細菌の割合

1位 バクテロイデス 50~60%

2位 嫌気性球菌 10~20%

3位 ユーバクテリウム 10~20%

4位 クロストリジウム 10~20%

5位 ビフィズス菌 10~15%

また、他の実験ではBMI25以上の肥満の人とBMI25以下の一般の人の腸内細菌を調べる実験では、肥満の人は一般の人よりも善玉菌や乳酸菌が少ないという結果になりました。

やはり、肥満は腸内細菌の働きが鍵を握っているといえるでしょう。

デブ菌を減らしてヤセ菌を増やす

「デブ菌とヤセ菌のバランスをコントロールして痩せる。」というのが理想の「腸内フローラダイエット」という事になるでしょう。

デブ菌を減らしてやせ菌を増やす方法は2つあります。

一つは「腸内の善玉菌を増やす」ということです。

腸内最近のバランスは一般的な人で「善玉菌20%:悪玉菌10%:日和見菌70%」となっています。善玉菌と悪玉菌は、一方が増えれば同じ量だけ一方が減るというトレード・オフの関係になっています。全体的な割合でも約30%しかありませんが、日和見菌は善玉菌と悪玉菌のバランスが多い方に味方します。
つまり、善玉菌を優勢に増やしておけば、日和見菌も善玉菌の味方になり身体に良い働きをします。逆に、悪玉菌が優勢になると悪玉菌の味方になり、身体に悪い影響を与えてしまう事になります。ですので、日常的に善玉菌を優勢な状態に保つ事。常に善玉菌を供給してあげることが大切です。

もう一つが「ヤセ菌に好物のエサをあげる」ことです。

ヤセ菌が増えるか、デブ菌が増えるかの鍵は、どちらが増えるようなエサをあげられるか。つまり、何を食べるかにかかっています。

ヤセ菌、デブ菌はそれぞれ好みの栄養が違います。ヤセ菌が好むのは、食物繊維やオリゴ糖類です。これらのエサにして身体に良い働きをする「短鎖脂肪酸」を生成します。

デブ菌が好むのは生成された白い小麦や砂糖、赤身の肉類、加工食品などです。高糖質、高脂肪な食品が大好物です。

近年の日本人の体型が変わってきたのは、肉食中心の欧米型の食事が広まったせいという研究もあります。昔ながらの和食、一汁三菜が中心の食生活にすることで、ヤセ菌にもよいエサをあげているという事になるといえます。

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