腸内フローラとは?身体の健康を左右する腸の働き

腸が身体を支配する

2015年に放送されたNHKスペシャル「腸内フローラ 解明!脅威の最近パワー」が放送されて以来、多くの人々に腸内フローラが知られるようになり、書籍などでも数多くが特集されるようになりました

また、解析技術の発達によって、腸は人の身体の健康状態や体質、性格などにも多くの影響を与える事が分かっています。

「腸を制するものが健康を制する」と言っても過言ではありません。

腸のしくみや働きを知って、健康を維持しながら生活の質(QOL:quality of life)をアップさせましょう。

腸内フローラ(腸内細菌叢)とは?

腸内フローラ(腸内細菌叢)とは、腸内に住む細菌の集まりで、その形が様々な植物が種類ごとに群生している花畑(=フローラ)のように見えることから、名付けられました。

腸内フローラは人それぞれに個性があり、世界中でも自分と同じ腸内フローラを持っている人は一人もいません。母親と子では腸内細菌が似ているというケースもありますが、親子や双子でも共通点は多くなく、他人と同じくらいの違いがあることもあるようです。

腸内細菌は細胞分裂しながら同心円状に増えて、フローラを形成していきます。腸内細菌は他の種類の細菌と常に縄張り争いを繰り返しているので、集団でいたほうが有利といえます。腸内細菌は500~1,000種類が発見されていて、約1,000兆個という膨大な数が住んでいて、重さは約1.5~2kgにもなります。

腸内細菌から見ると、人は宿主という関係になり、腸内細菌と人は持ちつ持たれつの共生関係にあります。

この腸内フローラの種類や構成は、赤ちゃんで生まれてから約1年で大きな枠組みが決定します。
母親の胎内には細菌がいないので、赤ちゃんは完全な無菌状態で過ごします。産まれる際に産道を通ることで初めて菌に接触して、生まれた後から膨大な数の細菌と接触して身体の中に細菌を取り込んでいきます。そして、生後約1年でその人の腸内フローラが完成します。

一度決まった腸内フローラの種類や構成は、二度と変わることがありません。
しかし、腸内細菌たちのバランスは日々の生活環境によってさまざまに変化します。乱れた食生活で栄養がかたよったり、ストレスで心身が疲れてしまったりすると腸の状態が悪くなり、腸内フローラも悪影響を受けます。
腸内環境にに悪影響を及ぼす菌が増えると、良い菌の数も減ってしまい、体調が崩れる原因にもなってしまいます。

健康的な日常生活を送るためには、常に腸内細菌達がバランス良く活動している事がとても大切になります。

腸内フローラとお腹(大腸・小腸)の関係

人の腸は大きく小腸と大腸に分けられます。

小腸は、十二指腸・空腸・回腸で構成されていて、成人で約6~7mの長さがあり、内部は無数のヒダに覆われています。食べた物を効率よく消化・吸収するために、細長く、複雑に曲がりくねった形をして、約2~4時間ほどで食物の消化・吸収を終えます。

大腸は盲腸から直腸まで、成人で長さは約1~1.5mの長さがあり、広げるとテニスコート約1面分の面積になるといわれています。小腸から送られた食べ物の残りカスから水分を吸収します。
神経細胞の働きで内容物の固さを判断して、うんちとして排便するのに適した形にします。この機能が正常に作用しないと便秘や下痢になってしまいます。
食べた物は約24時間ほどかけて、ウンチとの製造と排泄の作業が行なわれます。

人の身体は食べて出す。つまり、「食べ物を消化、吸収して排泄する。」という一連の作業が、生きていく為に必要なシステムです。

消化、吸収、排泄を行う体の器官が腸ですが、その作業の全てを行うことはできません。腸に入ってきた食べ物を吸収しやすいように、消化する働きを行っているのが腸内細菌です。腸内細菌なしでは食べた物を消化できないために、栄養を吸収することができません。人と腸内細菌は共に助け合って生きている存在なのです。

排泄の他にも腸内細菌は大きな働きをしています。人のウンチは、水分が約60%、食べかすが約5%、腸粘膜細胞の死骸が約15%、そして腸内細菌の死骸が約20%の割合で構成されています。つまりウンチで出てくる多くの部分が腸の細胞や腸内細菌で占められている事になります。

腸内細菌は腸に貯まった腐敗物や不要物を一緒に身体の外に出してくれる働きもします。便秘になると、お腹の痛みや違和感だけではなく、肌あれやニキビなど、さまざまな悪影響が身体に現れます。それは、不要物などがなかなか身体の外に出ていかない為に、身体に悪い物質が腸から吸収されてしまっている事が原因の一つでもあります。

年齢と腸内フローラについて

腸内フローラは、日々の生活習慣や年齢によっても変化がおこります。

赤ちゃんは母親の胎内を無菌状態ですごした後、出産とともに細菌との接触が始まり、生後24時間以内には腸内に細菌がすみはじめます。

最初に登場するのが大腸菌や腸球菌、ブドウ球菌などです。その後、善玉菌であるビフィズス菌が生後数日から増えはじめ、赤ちゃんの頃がもっとも割合が多くなり、数として約100億個以上というものすごい量になります。
ビフィズス菌が多い状態は離乳の頃まで続き、離乳食などを食べ始める頃に日和見菌が増えはじめ、ビフィズス菌の割合は20%ほどに落ち着きます。20%位の割合を維持できれば、悪玉菌の増殖を抑えて腸内環境を良い状態に保つことができます。

老年期に入るとビフィズス菌の割合が減少し、悪玉菌が優勢になってしまう傾向があり、60代になると1億個ほどまでに激減していまうという研究結果もあります。赤ちゃんの頃の量と比べると約100分の1の計算です。

年齢を重ねると、食事のバランスが変わってしまったり、筋力が衰えてしまったりと、腸内環境が悪くなりやすい状態になるケースも多く、便秘にかかってしまうことも多いようです。

成年期や老年期に入る前から、腸内環境のケアを行っておくことがとても大切になります。

腸内フローラのバランスが崩れるとどうなる

腸は身体の中で最も重要な免疫器官で、病気になるような細菌を排除し、病気にかかった身体を治そうとする働きがあります。その大切な身体の免疫力の約70%を腸の働きによって支えています。

腸が免疫を支える大切な器官ある理由は、病気の原因となる細菌が腸から侵入してくるからです。口から食べた物は、胃で消化されながら腸に届き、腸内細菌などによってさらに消化されながら栄養として吸収されます。その吸収される過程で、病原性の細菌も吸収されて身体に入り込む事があります。そこで、腸は病原性の細菌を身体に吸収してしまわないように、免疫機能を使います。

腸内細菌たちは腸内フローラの中で、常に生き残りをかけながら縄張り争いをしています。身体の外から病原菌などが入り込んできた場合には、縄張りを奪われないように病原菌を攻撃して排除してきます。腸内細菌のバランスが崩れて、良い働きをする菌が少ないと、十分な免疫力を発揮できすに病原菌たちを排除しきれない状態になり、病気にかかる原因になる可能性があります。

腸内フローラが悪化してしまった場合には、下記のような症状が現れることがあります。

・免疫力の低下

・栄養吸収力の変化による肥満

・便秘や下痢

・うつ病や自律神経の乱れ

・腸や体の炎症

腸内フローラのバランスが崩れる原因

腸内フローラのバランスを保つには食事や運動が大切です。

一方、腸内環境に悪影響を与えバランスを崩す原因には以下のようなものがあげられます。

加工食品や砂糖類などの過剰摂取

加工食品などは悪玉菌の大好物です。悪玉菌が活性化すると、反対に善玉菌の活動が弱まってしまいます。

抗生物質の服用

抗生物質は強力な殺菌作用を持っています。有害な細菌を殺菌する薬ですが、人にとって有用な菌も殺してしまいます。

ピルなどの薬品の摂取

ピルはホルモン分泌のバランスを変える薬です。自律神経を乱して、便秘などの症状を起こす原因にもなります。

日常的なストレス

不安な事や嫌な事があるとお腹が痛くなる経験がある方も多いでしょう。不安や緊張などのストレスを感じると、脳から腸へ信号が送られて、腸の活動に悪影響がでるといわれています。

腸内環境に悪影響を与えるもの

腸内フローラに住んでいる菌達 有用菌・有害菌・日和見菌

腸内細菌は、大きく分類すると「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」の3種類に分類されます。

腸の中は、善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%というバランスが、良い状態とされています。このバランスが崩れると腸内環境が乱れて健康を損ねる原因になってしまいます。

善玉菌

消化吸収を助けたり、腸内のバランスを整えたり、腸の働きを活性化する有用菌です。短鎖脂肪酸など、体調を整える物質を産生します。

ビフィズス菌、乳酸菌、アシドフィルス菌

日和見菌

善玉菌と悪玉菌、どちらか強い方の味方をします。

レンサ球菌、バクテロイデス菌

悪玉菌

腸の中で増えすぎると、消化できていないタンパク質などを腐敗させて有害な毒素を生成する有害菌です。

大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌

しかし、最近、腸内細菌の研究が進んだ結果、悪玉菌も悪い働きばかりではなく、さまざまな大切な働きを持っている事が分かってきました。悪玉菌だから無くししまった方が良い訳ではなく、人それぞれの体にあった「善玉菌」、「悪玉菌」、「日和見菌」のバランスが大切なのです。

腸内細菌の理想的なバランス

善玉菌、悪玉菌、日和見菌の理想的なバランスはあるのでしょうか?

バランスの良い腸内細菌とされている割合は、善玉菌20%・悪玉菌10%・日和見菌70%という研究結果が多いようです。ただ、人によって最適なバランスが異なるので、一概にあてはめることはできません。

腸内細菌の中で最も多いのが「日和見菌」です。

善玉菌が優勢になると善玉菌に味方をして、悪玉菌が優勢になると悪玉菌に味方する、どっちつかずの煮え切らない日和見菌が腸内フローラの大半をしめています。

善玉菌は悪玉菌を退治して腸内環境を良くするという考え方が一般的ですが、最も勢力の大きな日和見菌を味方につけることも腸内環境を良い状態に保つためには大切なポイントになります。

腸内細菌とは?善玉菌・日和見菌・悪玉菌の働きと効果

腸内フローラを整えることで期待できること

腸内フローラや腸内細菌は、遺伝子解析などの技術進化のおかげで日進月歩の発展をとげています。

その中でも、腸内フローラを整えることで期待できる効果の研究がすすめられています。

便秘の解消や予防

腸内フローラが整うと、大腸のエネルギーである短鎖脂肪酸が産生され、ウンチを送り出すぜん動運動が活発になります。

便秘の症状や原因、改善対策について

下痢や過敏性腸症候群の予防や改善

食生活や生活習慣の乱れによって、悪玉菌が増えて腸内環境が乱れると腸が水分をちゃんと吸収できずに、水分を多く含んだうんちが排泄されやすくなります。

下痢の症状や原因、改善対策について

胃がんや大腸がんの予防(発がんリスクの低減)

腸内フローラが乱れると、大腸炎や糖尿病、動脈硬化などの発症原因になるという研究報告があります。

アレルギーの抑制

腸の大きな役割の一つが免疫機能です。免疫が低くなると病気にかかりやすくなりますが、反対に免疫が過剰に働くとアレルギーとして反応してしまいます。免疫もバランスが大切なのです。

アレルギーの症状や原因、改善対策について

肌あれやアトピーの改善

腸内環境が悪化することで、悪玉菌から有害な物質が作られてしまいます。有害物質の作用で、肌に吹き出物ができるなどの悪影響がでることがあります。

肥満の解消、ダイエットの促進

20016年にアメリカのジェフリー・ゴードン博士によって、腸内フローラと肥満の関係が明らかにされました。
日本の東京農工大の木村教授の研究で、腸内細菌が酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸を産生して、これらの物質が血中から全身を巡ることで代謝が促進され、脂肪の蓄積を抑制することが分かりました。

肥満の症状や原因、改善対策について

メタボリックシンドロームの症状や原因、改善対策について

ストレスへの対応

実験ではビフィズス菌を摂取させたマウスと摂らせていないマウスを狭い空間に閉じ込めた場合、ビフィズス菌を摂ったマウスの方がストレスを感じることを示す数値が低くなるという実験が報告されています。

腸内フローラを健康に保つ方法

腸内フローラが悪化してしまった場合にはどうしたらよいのでしょうか?

まず、一つの方法として乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を補充してあげる方法があります。
善玉菌のバランスを20%~30%程度に回復させてあげるのが理想ですが、ヨーグルトなどの発酵食品を食べて、それに含まれる乳酸菌などを腸にまで送り届けることが効果的です。これを「プロバイオティクス」と呼びます。

もう一つが、ビフィズス菌のエサとなるオリゴ糖や食物繊維を含んだ食べ物を摂取する方法です。好物のエサを与えることで、腸内のビフィズス菌が活発に働きはじめます。このエサとなる物質を「プレバイオティクス」と呼びます。

2つの方法を同時に行うことで、相乗効果が産まれる事があります。すると、腸内が酸性化され、元からすんでいる善玉菌も活性化され、腸内環境が改善されます。これ「シンバイオティクス」と呼びます。

補給した乳酸菌やビフィズス菌は、ずっと腸の中に定着することができません。補給を辞めてしまうと、また元の悪い状態に戻ってしますので、継続的に善玉菌やオリゴ糖などのエサを補給してあげる事が大切です。

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